シエラレオネ内戦、戦犯が初の刑期終了 「重要な節目」と特別法廷
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【6月3日 AFP】シエラレオネ内戦(1991~2002年)の戦争犯罪を審理したシエラレオネ国際戦犯法廷(SCSL)の任務を引き継いだ「シエラレオネ残余特別法廷(Residual Special Court for Sierra Leone、RSCSL)」は5月28日、元政府軍民兵指導者のモイニナ・フォファナ(Moinina Fofana)受刑者が15年の刑期を終了し、釈放されると発表した。RSCSLは、シエラレオネ内戦の戦犯が刑期を終了するのは初めてだとした上で「重要な節目を迎える」と述べた。
フォファナ受刑者が内戦当時に指導者だった政府軍民兵は、反政府勢力に協力した疑いがある民間人に対して銃撃や切り付け、放火による殺害を行ったことで悪名高い。シエラレオネ内戦では紛争ダイヤモンドを主な資金源とするさまざまな暴力行為で民間人12万人余りが死亡し、数千人が手足を切り落とされた。
国連(UN)が支援したSCSLは3年間の審理を経て、2007年にフォファナ受刑者に禁錮6年の有罪判決を言い渡した。08年には上訴審の結果、刑期が15年に延長された。
ルワンダの首都キガリの刑務所に収監され、刑期の3分の2が過ぎた後、フォファナ受刑者は15年に条件付きで早期釈放を認められた。しかし「社会の中でまじめかつ平和的に行動する」との条件に違反したため、1年後にシエラレオネの首都フリータウンで再拘束され、残りの刑期をシエラレオネ南部のボー(Bo)で務めた。刑期終了は28日午前0時。
SCSLは2002年に国連によってオランダ・ハーグ(Hague)に設置され、内戦時の残虐行為に「重大な責任」を負う戦犯を裁いた。フォファナ受刑者以外に有罪となった7人の戦犯は現在も服役して20~52年の刑期を務めている。
その中で最も悪名高いチャールズ・テーラー(Charles Taylor)元リベリア大統領は、隣国シエラレオネの反政府勢力を支援し、内戦を扇動したとして11件の戦争犯罪や人道に対する罪に問われ、12年に有罪判決を言い渡された。現在は英国の刑務所で50年の刑期を務めている。
元国家元首が国際戦犯法廷で有罪になったのは、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)から後継者に指名され短期間ドイツの大統領を務めたカール・デーニッツ(Karl Doenitz)が第2次世界大戦(World War II)後のニュルンベルク(Nueremberg)裁判で有罪判決を受けて以来のことだった。(c)AFP