【6月3日 AFP】米メリーランド州モンゴメリー(Montgomery)郡で、自宅に避難用の地下トンネルを掘らせるため雇った男性を火事で死亡させたとして、男が5月31日、大陪審に起訴された。トンネルは北朝鮮の攻撃から身を守るためのものだったという。

 地元テレビWRC-TVによると、起訴されたのは陰謀説を唱える富豪の株式トレーダー、ダニエル・ベクウィット(Daniel Beckwitt)被告(27)。モンゴメリー郡ベセスダ(Bethesda)にある被告の自宅で2017年9月、地下トンネルを掘っていたアスキア・カフラー(Askia Khafra)さん(当時21)が火災で死亡。被告は第二級殺人と非故意殺の罪で起訴された。

 被告側の弁護士によると、ベクウィット被告は当時、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験などで緊張が高まる国際情勢に不安を募らせ、庭に身を守る塹壕(さんごう)を掘ることを思い付いた。地元テレビ局WJLAが郡検事補の話として報じたところによると、被告はソーシャルメディアを通じて知り合ったカフラーさんに被告宅で地下トンネルを掘るよう依頼。寝泊まりや食事、用便もすべてトンネル内で行うことを条件に、カフラーさんが起業できるよう十分な報酬を与えるともちかけていた。トンネルは被告の自宅地下6メートルから60メートルほど掘られていたという。

 カフラーさんがトンネルを掘らされて死亡した頃、米国では核兵器や弾道ミサイル計画を進める北朝鮮との緊張関係が高まっていた。ベクウィット被告の弁護士は被告を「特異な人物」と評している。

 ベクウィット被告はすでに10万ドル(約1100万円)の保釈金を払っており、4日朝にも保釈される見通しで、8日に再び出廷する。(c)AFP