EU圏外にふらり、迷い牛に殺処分命令 飼い主が助命嘆願
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【6月1日 AFP】騒動の発端は、おなかに赤ちゃんを宿した雌牛が1頭、欧州連合(EU)加盟国のブルガリアから非加盟国の隣国セルビアに迷い込んでしまったことだった。雌牛は飼い主の元に無事戻ったが、ブルガリア当局は殺処分を命令。飼い主が必死に助命を嘆願する事態となっている。
あか毛牛のペンカ(Penka)は5月12日、ブルガリアの村コピロフチ(Kopilovtsi)付近で群れからはぐれ、西の方角へさまよううち、国境検問所を越えてセルビアに迷い込んだ。
出産を3か月後に控えたペンカは、セルビアの農家に保護され、再び国境を越えて飼い主のイバン・ハラランピエフ(Ivan Haralampiev)さんの元に帰ってきた。だが、ブルガリア当局はEUの厳格な検疫規則に基づいて殺処分を命じた。
「理由は、ペンカがEUの境界線を越えてしまったからだそうです」。ハラランピエフさんは5月31日、いったん越境した以上はEU域内に連れ戻してはいけないと言われたと公共テレビBNTに話し、ペンカの助命を訴えた。
「獣医師がやって来て、ただちに殺処分するよう命じられました!」とハラランピエフさんは嘆いた。「なぜ、誰も(国境を越える)ペンカを止めようとしてくれなかったのでしょう?」
セルビアの獣医師はペンカについて、全く健康で帰国に問題はないとの証明書を発行していた。しかし、ブルガリア当局はAFPの取材に対し、EUの規則からペンカを救う権限は自分たちにはないと主張。「われわれに決定権はない。EU本部が決めた規則を適用するだけだ」と述べた。(c)AFP