ロシア記者は生きていた… 驚きの「作戦」に安堵と怒りの声
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【5月31日 AFP】ロシア政権に批判的だった同国の著名ジャーナリスト、アルカディ・バブチェンコ(Arkady Babchenko)氏が殺害されたとの事件は、実はウクライナ当局が偽装したものだったとの発表を受け、各方面から安堵(あんど)と怒りの声が上がっている。
殺害が報じられてから丸一日たたずに開かれた記者会見では、バブチェンコ氏本人が登場。ロシアによる自身の殺害計画を首謀した容疑者を捕えるための「特殊作戦」に加わっていたことを認めるという、驚くべき展開となった。
欧州議会(European Parliament)のアントニオ・タヤーニ(Antonio Tajani)議長はバブチェンコ氏が無事だったことに「安堵した」とツイッター(Twitter)に投稿。同議長は当初、事件を「忌まわしい犯罪」と非難していた。
ロシア外務省は、バブチェンコ氏生存の一報を「素晴らしい知らせ」と歓迎したものの、殺害偽装についてはロシア当局の信頼を損なわせることを目的としたプロパガンダだと非難。「このやらせの本当の動機が明らかになり始めた。またしても反ロシア的な挑発であることは、明々白々だ」と主張している。
バブチェンコ氏の元同僚であるロシア人ジャーナリスト、アンドレイ・ソルダトフ(Andrei Soldatov)氏も、この作戦は「一線を大きく越えた」と指摘し、作戦の意義に疑問を呈している。同氏はツイッターに「バブチェンコは警官ではなくジャーナリストだ。われわれの仕事の一部は信頼にある」と書き込んだ。
国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」は、同作戦を「哀れ」な茶番と表現し、真実をもてあそぶことの危険性に警鐘を鳴らした。RSFのクリストフ・ドロワール(Christophe Deloire)事務局長はAFPの取材に応じ、バブチェンコ氏が生きていたとわかって安心したものの「動機が何だったにせよ、ウクライナ警察がこの茶番のために真実をもてあそんだことは哀れで遺憾だ」と語った。(c)AFP