【5月29日 AFP】中国の安徽(Anhui)省六安(Lu'an)市で、未払い手当の支払いなどを求める教員の抗議デモに警察が暴力的に対応したとみられ、ソーシャルメディア上で非難が巻き起こっている。中国では最近、教員による抗議デモが相次いでいる。

 デモがあったのは27日。香港を拠点とする人権派ブログ「アクティビスツ・ネットワーク(Activists' Network)」によると、教員約200人が未払いとなっている手当の支払いや待遇改善を求める横断幕を掲げて、市庁舎に向かって行進した。

 ソーシャルメディアでは、逃げようとする教員らを警官が無理やり引っ張ったり、乱暴に小突いたりする様子を捉えた写真や未確認の動画が拡散している。病院の担架に乗せられた女性1人も写っているが、けが人の姿は見えない。

 市の公安当局は、市庁舎の正門前に教員約40人が集まり「職員の指示に従わず、社会秩序を著しく乱した」と主張。ただ、警官が教員を殴打したという主張の真偽を確かめるため捜査を開始したことも認め、結果については時宜を得て公表するとしている。

 ネットには、警官が教員を手荒に扱ったとして教員側に同情するコメントがあふれている。

 ある人は「問題を解決するのではなく、声を上げた人を押さえつけようとするやり方が、中国各地に広がっている」と指摘。別の人は「こんなことに見舞われた後で、この教員たちはどうやって自由や公正さを説く社会主義の中核的価値観を生徒に教えたらいいのか。それとも、全部茶番なのか?」と書き込んでいる。

 中国では一般的に、抗議デモが起きた場合、規模が膨らんで制御できなくなるのを恐れて当局がすぐに解散させる。

 今回の警察の対応が国民の怒りを招いた背景には、農村や規模の小さい都市で給与の低さから教員の確保が難しい現状がある。(c)AFP