【5月28日 AFP】先週訪中したドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が滞在中、拘束されている中国の人権派弁護士の妻2人と面会した。面会した女性が28日、AFPに明らかにした。国や政府の指導者レベルの人物は訪中時、人権についての声明を公に発表したり、活動家やその家族と面会したりすることを避けるため、メルケル首相による今回の面会は異例と言える。

 メルケル氏は24日と25日の2日間にわたる訪問の間、2人との面会について言及しなかったが、李克強(Li Keqiang)首相との会談で人権についての話を取り上げたと述べている。

 その一方、拘束されている弁護士の妻、李文足(Li Wenzu)さんは、24日にメルケル首相と面会したことを明らかにした。李さんは先月、夫の窮状を世間に訴えようと拘置所までの100キロの道のりを行進しようとしたが、警察に阻止されている。

 李文足さんの夫、王全璋(Wang Quanzhang)さんは政治活動家らを担当する弁護士で、2015年の警察による一斉取り締まりで所在が分からなくなった。王弁護士は現在、「国家政権転覆」の罪に問われている。

 李さんはAFPの取材に対し、メルケル首相と面会した際に撮影した写真を披露。写真では、メルケル首相が李さんの肩に右手を置いてほほ笑み合っている。

 李さんは、2015年7月9日の一斉取り締まりを受けた弁護士グループに言及しながら、「709事件の弁護士たちへのメルケル首相の配慮と支援に感謝する」と述べた。

 709事件は、弁護士らに対するここ最近では最大規模の弾圧とされ、人権派弁護士や活動家200人以上が拘束や取り調べを受けた。王弁護士もこのうちの一人とされる。

 李さんは電子メールで、「メルケル首相に対して、私が中国政府に王全璋が存命かどうか確認できるように支援してほしいと頼んだ。また、もし生きているならば、私の弁護士が彼と面会することを政府が許可するよう促すために支援してほしいとお願いした」と説明。「メルケル首相は、私や夫、私の子どもが置かれている状況に対して懸念を示してくれた。また、私たちへの支援と配慮をし続けると言ってくれた」と述べた。

 メルケル氏はまた、「国家政権転覆扇動」の疑いで1月に拘束された余文生(Yu Wensheng)弁護士の妻、許艶(Xu Yan)さんとも面会している。(c)AFP