【5月25日 AFP】感染症で入院した肥満の人は、標準体重の人に比べ生存率が高いという研究結果が25日、発表された。様々な健康リスクがある肥満だが、逆に利益もあるようだ。

 研究結果は、オーストリアの首都ウィーンで開催された欧州肥満症会議(European Congress on Obesity)で発表された。デンマークで2011~15年に入院した患者1万8000人以上を調べた結果、感染症で入院した過体重および肥満の人は2倍の確率で生き残ったことがわかった。研究者は、過体重の患者の死亡率が「40%、肥満の患者が50%、それぞれ標準体重の患者を下回った」と指摘した。研究結果は学術誌には掲載されていない。

 また、会議ではこれに先立ち、別の研究者が2045年までに世界の人口の4分の1が肥満となると予測し、医療費の増加に警鐘を鳴らした。

 肥満は、心臓病、高血圧、糖尿病、ある種のがんなどのリスクが高いと言われてきた。一方で、特定の症状を防ぐことも示唆されている。これは「肥満パラドックス」と呼ばれている。

 会議で発表された別の研究では、肥満と過体重の人が肺炎で入院した場合の死亡率は、標準体重の患者よりも20~30%低いと示された。研究は、2013~14年に米国の病院1000院以上で肺炎の治療を受けた約170万人の患者の記録を調べた。「人工呼吸器を使っていない(それほど重篤ではない)症状の場合、生存率は標準体重の患者と比較すると過体重の患者が23%、肥満の患者が29%高かった」。人工呼吸器が必要だった場合はそれぞれ21%、30%と、大幅に上回った。

 体格指数(BMI、身長と体重から算出される肥満度を測るための指標)が25以上で過体重、30以上で肥満と判定される。

 また、米病院1000院に敗血症で入院した370万人のデータを調べた結果も発表され、こちらもまた、過体重と肥満の患者は標準体重よりも死亡率が低かった。さらにオランダで行われた別の研究では、重篤な肥満患者が入院中に筋肉消耗となる率が低いことがわかり、肥満が生存率に寄与していることがさらに裏付けられた。(c)AFP/Mariëtte Le Roux