米国防総省、太平洋合同演習への中国招待を撤回
このニュースをシェア
【5月24日 AFP】米国防総省は、米海軍が隔年で実施している合同海洋軍事演習「環太平洋合同演習(リムパック、RIMPAC)」について、中国に対する今年の参加招請を撤回すると表明した。同国による南シナ海(South China Sea)の「継続的な軍事化」が理由。米高官が23日明らかにした。
中国の王毅(Wang Yi)外相は同日、ワシントンで行ったマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官との会談後の記者会見で、米側の決定は「非建設的」だと述べた。
米中間では今週、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、貿易戦争回避を目的とする交渉に満足していないと述べたり、米朝首脳会談の中止を警告した北朝鮮の動きに習近平(Xi Jinping)中国国家主席が関与した可能性を示唆したりと、関係の緊張を示す動きが続いている。
米国防総省のクリス・ローガン(Chris Logan)報道官は「南シナ海の係争地形で中国が進める継続的な軍事化は、緊張を高め、地域を不安定化させることにしかならない」とした上で、「中国人民解放軍海軍(PLA Navy)に対する2018年環太平洋合同演習への招待を取り消した。中国の振る舞いはリムパック演習の理念と目的に一致しない」と述べた。
同報道官は、国防総省には、南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島、Spratly Islands)に属する「対立のある地形」に中国が対艦ミサイル、地対空ミサイルシステム、電波妨害装置を配備しているという強力な証拠があると説明。
その上で「中国は(同諸島における)島建設の目的を、海洋安全、航海支援、捜索・救助、漁業保護、他の非軍事機能の確保だと主張しているが、これらの兵器システムを配置する目的は軍事利用以外にない」と指摘した。
さらに同報道官は、中国爆撃機のウッディー島(Woody Island、永興島)着陸は緊張を悪化させただけだと述べた。
王外相は、中国側は招待取り消しの決定を「非常に非建設的な動きと捉えている」と表明。「これは軽率な決定でもあり、中・米間の相互理解の助けにならない」と述べた。
米海軍によると、今年のリムパックには当初、27か国から1000人余りの人員が参加する予定だった。
同演習は米国、オーストラリア、カナダによって1971年に始まった後、1974年まで毎年実施されていたが、以降は規模の大きさのために隔年実施に変更された。中国はこれまで2014年と2016年の2回参加している。(c)AFP/Thomas WATKINS