【5月22日 AFP】イスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」による集団拉致が起きたナイジェリア北東部の学校で、事件を受けて数百人もの女子生徒たちが、安全上の不安から学校へ戻ることを拒否していることが分かった。生徒たちの教師や保護者が22日、明らかにした。

 ボコ・ハラムは2月19日、同国北東部ヨベ(Yobe)州ダプチ(Dapchi)の女子学校を襲撃し、111人の女子生徒を拉致した。同国では2014年にもチボク(Chibok)で同様の事件があり、世界中から激しい怒りの声が上がっていた。

 今回の事件の一ヶ月余り後、拉致された女子生徒たちはほぼ全員が解放された一方、捕らわれの身となっていた間に5人が死亡し、キリスト教徒の女子生徒が現在も拘束されている。

 そうした中、学校は4月30日に再開。だが、当局に罰せられることを恐れて匿名で取材に応じた教師によれば、ほとんどの生徒が恐怖から登校していないという。

 この教師はまた「本校には計989人の生徒が在籍しているが、再開後はそのうちたった314人しか登校していない。この314人のうち299人が卒業試験を受けており、7月に卒業予定だ」と説明。「つまり、実質的に学校へ戻って、これからもここで教育を受け続ける生徒はたったの15人しかいない」と話した。

 拉致された少女の保護者らが結成した会で代表を務めるバシール・マンゾ(Bashir Manzo)さんは、警備担当者の人員不足が理由で子どもたちは自宅に留まり続けていると説明。

 マンゾさんはAFPに対し「学校を警備する兵士や自警団員はほんの一握りしかいない。せいぜい合わせて25人だ。私たちの娘を守るにはひどく不十分な数だ」と話す。

 その一方、ヨベ州教育委員会のムハンマド・ラミン(Mohammed Lamin)氏は、保護者らの懸念を一蹴。学校を安全な場にするために「人間ができることはすべて」行ったと主張し、「我々は24時間警備を実施するため、兵士や警察、民間防衛隊員、自警団員を配置している」「セキュリティーが不十分だとどうして言えるのか?保護者たちは自宅でも同じ水準の警備をしているのか?」と反論した。(c)AFP/Aminu ABUBAKAR