【5月22日 AFP】中国にあるすべてのモスク(イスラム礼拝所)で今後、中国国旗が掲揚されることが明らかとなった。同国のイスラム規制当局が発表した。イスラム教徒たちの「愛国精神を促進する」ためだという。一方で中国共産党は宗教統制の強化を進めている。

 中国イスラム教協会(China Islamic Association)はホームページで声明を発表し、モスク中庭の「目立つ位置」に中国国旗を掲揚すると表明。国旗掲揚は「国や市民の理想に対する理解をさらに深め、全民族のイスラム教徒の間に愛国精神を促進する」としている。

 また中国共産党の「社会主義核心的価値観」についての情報をモスク内に掲示し、「人々の心に深く根付く」よう礼拝で信者に説明するよう求めた。

 中国イスラム教協会は中国政府の関連団体で、国内では唯一イマーム(導師)を公認する権限を持っている。中国では改正された宗教に関する規制が今年2月に施行され、人権団体からは信教の自由への影響を懸念する声が上がっていた。

 イスラム教は基本的に無神論の立場を取る中国共産党が公認する五つの宗教のうちの一つで、国内に約2300万人の信者がいる。

 だが、多くがイスラム教徒である少数民族ウイグル人が住む新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)では長いひげをはやすことや公共の場で祈ることが禁止されるなど、当局によるイスラム教徒への締め付けが厳しくなっている。(c)AFP