【5月22日 AFP】イタリアのトリノ(Turin)を拠点とする若手アーティストが数か月をかけ、15トンの白大理石ビアンコ・カララの塊を使った小型車「フィアット500(Fiat 500)」の実物大の彫刻を制作している。作品は今日の消費主義と使い捨て社会への批判だ。

 彫刻家のナザレノ・ビオンド(Nazareno Biondo)氏は、粉じんを避けるためマスクを着け、電動丸のこを手に、大理石をゆっくりと慎重に切り出していく。昨年制作を開始した作品は、初代フィアット500の「トッポリーノ(Topolino)」を模している。この車は、リアエンジンを搭載した2ドアの超小型車で、発売から長い年月を経た今でも、イタリアの戦後高度成長期を象徴している。

「これまでで最も大きい作品だ」。30代のビオンド氏は、フィアットの本拠地でもあるトリノ郊外のアトリエでAFPの取材に話した。

 ビオンド氏はトリノの美術学校を卒業し、大理石の彫刻を専門にしている。これまでに、白大理石を使って金塊、ドル札束、スクーターのベスパ(Vespa)などの作品を制作している。

 作品は数か月以内に完成する見込みで、廃車寸前のような見た目に仕上がるという。ビオンド氏は、「私の作品は消費主義と現代社会の浪費を反映しているからだ」と説明した。(c)AFP