【5月17日 AFP】人目を引く口ひげと大胆な発言で知られる米大統領補佐官、ジョン・ボルトン(John Bolton)氏(国家安全保障担当)が今、北朝鮮による批判の矛先となっている。非核化をめぐり同氏がリビア方式を示唆したことに対し、北朝鮮が大きく反発しているのだ。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は今年3月8日、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong Un)朝鮮労働党委員長と会談する用意があると述べて世界を驚かせた。以降、両国はひとまず関係改善へと舵を切ったが、このボルトン氏の発言が最大の障害となっている。

 北朝鮮は16日、米国に対し遺憾の意を表明し、6月12日にシンガポールで開催が予定されている史上初の米朝首脳会談を中止する可能性を示唆した。

 北朝鮮側は、トランプ氏に直接言及することは慎重に避けながらも、側近であるボルトン氏を痛烈に批判した。保守強硬派のボルトン氏は過去にしばしば国際舞台における米国の軍事行動を支持してきた。

 北朝鮮の金桂冠(キム・ゲグァン、Kim Kye Gwan)第1外務次官は、同国国営メディアが伝えた談話の中で「われわれは過去すでにボルトン氏の資質を明らかにしており、彼に対する反感を隠すことはない」と述べた。

 北朝鮮側のトーンの変化が単なる瀬戸際外交なのか、本物の外交危機の始まりなのかは現段階では判断できないが、今回の件により、トランプ氏の側近の間でアプローチに温度差があることが強調された。

 就任後2か月足らずのボルトン氏だが、北朝鮮外交の場に名前が挙がるのは今回が初めてではない。2000年代初頭、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権で存在感を示したボルトン氏は、北朝鮮の国営メディアから「人間のクズ」「吸血動物」などと呼ばれたこともある。

 また元米国連大使であるボルトン氏は現政権入りする前、北朝鮮の核関連施設を先制攻撃する選択肢について「完全に合法的」だと述べ擁護していた。