【5月19日 AFP】リビアの女子サッカー代表チームはピッチの上で奮闘するだけでなく、そもそも女性が公共の面前でスポーツをすることに眉をひそめる保守的な社会とも闘っている。

 家父長制的なイスラム国家のリビアでは、女性アスリートや女性チームに対する批判が大きい。「肌を露出するな」「家にいるべきだ」「お前たちに物事を教える男性はいないのか」。練習のたび、選手たちにこうした言葉が浴びせられると、センターフォワードのサイダ・サード(Saida Saad)選手は話す。

 サードさんやチームメートは肌を露出しすぎないように、ショートパンツの下に厚手のタイツを履いている。だが、彼女たちを批判する人々にとってはそれでも十分でない。リビア東部の都市ベンガジ(Benghazi)出身のサードさんは「スポーツを愛しているから、我慢しています」「私たちは社会の態度を変えようとしているんです」と語った。

■チャレンジするのみ

 サードさんは4月に開催されたアフリカ女子ネイションズカップ(African Women Cup of Nations)予選の対エチオピア戦の前に、首都トリポリのスポーツ・シティー(Sports City)で行われた練習に参加した。

 ハッサン・フェルジャニ(Hassan Ferjani)監督は、選手たちがピッチで90分間闘えるようにするという控えめな目標を掲げた。「かわいそうに。彼女たちが大きなグラウンドでプレーするのは、これが初めてでしょう」

 試合を数日後に控え、練習に参加できたのはわずか10人だった。米国に拠点を置く数人を含めた他の選手たちは、エチオピア戦の「ホーム」ゲームが行われるエジプトのカイロでチームに合流した。国際サッカー連盟(FIFA)は内戦で荒廃したリビアでの国際試合を許可していない。そのため、カイロがエチオピア代表の「ホーム」扱いなのだ。

 リビア女子代表はこの試合に8対0で負け、エチオピアの首都アディスアベバ(Addis Ababa)で行われた2試合目も7対0で完敗。ゴールを一つも奪うことができなかった。

 リビアの人権活動家、ザフラ・ランギ(Zahra Langhi)さんはツイッター(Twitter)に「結果はどうあれ、彼女たちは父権制に基づく文化や暴力的な過激主義からの驚異的な回復力を示し、私たちに誇りを持たせてくれた。彼女たちは全面的なサポートに値します!」と投稿した。