【5月13日 AFP】世界保健機関(WHO)は11日、コンゴ民主共和国で新たにエボラ出血熱が発生したことを受け、「最悪の事態」も想定した対応を準備していると明らかにした。コンゴ民主共和国では8日に保健省がエボラ出血熱の流行を宣言している。

 WHOで緊急事態対応の責任者を務めるピーター・サラマ(Peter Salama)氏はスイスのジュネーブで記者会見し、コンゴ民主共和国でのエボラ出血熱発生について「非常に懸念しており、最悪の事態を含めてあらゆる可能性に備えている」と述べた。

 WHOは4月4日から5月9日までに、コンゴ共和国との国境に近いトゥンバ湖(Lake Tumbathe)の湖畔にあるコンゴ民主共和国の町ビコロ(Bikoro)でエボラ出血熱が疑われる症例と感染例計32件を確認。うち18件では患者が死亡している。サラマ氏によると、感染者のうち3人は医療従事者で、うち1人が死亡した。

 エボラ出血熱は感染率、致死率とも非常に高く、世界でも最も危険なウイルス感染症の一つ。エボラ出血熱を引き起こすエボラウイルスは1976年、当時ザイールと呼ばれていたコンゴ民主共和国でベルギーが主導する医療チームにより発見された。コンゴ民主共和国内でエボラ出血熱が確認されたのは今回で9回目。 

 サラマ氏によると、今回ビコロで見つかったエボラウイルスは2013年末~14年に西アフリカで流行し1万1300人を超える死者を出した「ザイール型」だという。長らく部族間衝突が続いたコンゴ民主共和国の広大な国土の中で、今回エボラ出血熱の流行が確認されたビコロは人の行き来が困難な隔絶された地域にある。このことは感染が拡大しにくいという利点はあるが、その一方で非常に複雑な対応を迫られることになると、サラマ氏は語った。(c)AFP/ Nina LARSON