【5月12日 東方新報】10年前の5月12日、中国・四川省(Sichuan)で起こった大地震は、たくさんの人の人生を変えてしまった。

 馮邦武(Feng Bangwu)さん一家は、地震で娘たちの母親を失い、家も倒壊してしまった。しかしこの10年間、雪梅さん(22)と小雁さん(20)姉妹は、馮さんとさらに二人の「お父さん」に支えられて成長した。

 父の馮さんは地震当時、炭坑で働いていた。2008年5月12日午後、同僚は先に坑道に入ったが、馮さんはタバコを1本吸ってから後に続こうと考えていた。その時、地響きが聞こえ、地面が揺れ始め、揺れが徐々に大きくなり、坑道の入り口がみるみる間に変形してしまった。

 同僚たちを助け出そうにもままならず、避難した。すぐに家族のことが心配になり、何とか家の近くにたどり着いたが、発見した妻はすでに息絶えていた。頭に大きな傷を負っていた。馮さんは妻を葬れないまま、娘たちが通う学校へと走った。

 娘たちの泣き声を聞いた時、やっと一息つけたという。一体何が起こったのかわからなかったが、後になって、四川が大地震に見舞われ、壊滅的な被害を受けたと知ったのだという。

 地震から何日か過ぎ、馮さん一家はがれきの山となった村を離れ、ほかの被災者とともにあてもなく歩き始めた。