カエルツボカビは朝鮮半島原産、両生類の国際取引禁止を呼び掛け 研究
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【5月11日 AFP】世界各地でカエルを死に至らしめている感染症の原因真菌カエルツボカビ(学名:Batrachochytrium dendrobatidis)は、朝鮮半島が原産だとする研究報告が米科学誌サイエンス(Science)に発表された。研究チームは感染拡大を防ぐため、ペット用の両生類の国際取引を中止するよう呼び掛けている。
カエルツボカビは、両生類の皮膚に寄生して致死性の高いカエルツボカビ症を引き起こす。カエルツボカビ症は複数種のカエルを絶滅に追いやる恐れが指摘されている危険な感染症だ。
報告書を共同執筆した英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)感染症疫学部のサイモン・オハンロン(Simon O'Hanlon)氏は、「カエルツボカビが多くの両生類の生息数減少の原因となっていることは生物学者の間では1990年代から知られていたが、原産地はこれまではっきり特定できていなかった」と述べている。
今回の国際研究では、世界各地からカエルツボカビのサンプルを収集し、ゲノム配列を解析。カエルツボカビの4つの主要な遺伝系統のうち、3つは世界中で確認できるが、残る1つは朝鮮半島原産のカエルしか持たないことを発見した。
今回の遺伝分析によって「カエルツボカビ症の感染は50~120年前に急拡大したことが分かった。これは、大陸間貿易が急成長した時期と一致する」と論文は指摘。この発見は「アジア原産の両生類の取引を禁止する上で、有力な証拠となる。未知のツボカビ株が地域外へ持ち出される高いリスクがあるからだ」と続けている。
サンショウウオに寄生して感染症を引き起こすイモリツボカビ(B. salamandrivorans)もアジア原産で、ペット用両生類の国際取引を介して広まっている。(c)AFP