【5月11日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は10日、夫婦間レイプから身を守ろうとして夫を殺害した10代の女性被告にスーダンの裁判所が死刑判決を出したことを非難した。

 死刑判決を受けたのはヌーラ・フセイン・ハマド(Noura Hussein Hammad)さん(19)。アムネスティによるとヌーラさんは16歳のとき、意思に反してアブドゥルラフマン・ハマド(Abdulrahman Hammad)さんと結婚させられた。

 婚姻の最初の儀式でヌーラさんの父親とアブドゥルラフマンさんが婚姻契約書に署名した。ヌーラさんの高校卒業を待って2017年4月に再び儀式が行われ、ヌーラさんは強制的に夫の家に連れてこられたという。

 ヌーラさんが床入りを拒むと、アブドゥルラフマンさんは兄弟2人といとこ1人を呼んでヌーラさんを押さえつけさせた。

 アムネスティの声明は「2017年5月2日、アブドゥルラフマンは3人の男に押さえつけられたヌーラ・フセインさんをレイプした」としている。「翌朝、ヌーラさんは再びレイプされそうになったが、どうにか台所へ逃れ、そこでナイフを手にした」「続いてもみ合いになり、アブドゥルラフマンはナイフで致命傷を負った」

 アムネスティによると事件後にヌーラさんは実家に逃れたが、父親によって警察に引き渡された。裁判所は夫婦間レイプを認めていない古い法律を適用し、「意図的な殺人」で有罪とした。

 アムネスティ・インターナショナルのセイフ・マガンゴ(Seif Magango)地域担当副責任者は声明で「ヌーラ・フセインさんは被害者なのであり、彼女に対する判決は容認し得ない残虐な行為だ」と述べた。「スーダン当局はこの極めて不公正な判決を破棄し、ヌーラさんが改めて罪の軽減事由を考慮に入れた公平な裁判を受けられるようにしなければならない」

 スーダンでは法律で子どもでも10歳になれば結婚できると規定していることから児童婚が横行しており、女性や子どもの権利を擁護する活動家らは近年、強制結婚を含む児童婚に対する反対運動を強めている。(c)AFP