■「不穏分子」を毎日訪問

 阿克切坎勒村は、新疆ウイグル自治区のカラカシュ(Karakax)県にある。同自治区の中でもウイグル族が多数派を占め、地球上で最も厳重な警備が敷かれるようになった場所の一つだ。

 2009年に新疆ウイグル自治区の区都ウルムチ(Urumqi)で暴動が起こって以来、ウイグル人は国中で発生し多数の死者を出した大量殺傷事件や爆破事件に結び付けられている。秩序不安と政府との衝突で何百人以上も殺されている。

 その結果行われた弾圧は、国際社会に衝撃を与えた。米国務省は4月、「広い範囲で拘束が行われ、かつてない規模で監視も実施されており」懸念が高まっている、と述べた。

 人権保護団体は中国政府の差別的政策が怒りを招き暴力をあおっていると指摘する。一方、政府はムスリム過激派の責任だとしている。

 2016年12月、3人のウイグル人がカラカシュの県共産党委員会に突入し幹部2人が死亡した。これをきっかけに政府は弾圧を強めた。何万人もの追加の治安要員を送り込み、厳しい法律を制定し、強制的再教育に送る人の数を増やした。

 同地域では公の場の監視カメラの数が何倍にも増え、工作組は農村で国家の目となり耳となった。

 工作組の素晴らしい取り組みを報じるメディアによると、工作組はインフラを整えるのを手伝い、職業訓練を行い、人々が「党に感謝する」よう勧めている。だがこの他に、村のすべての家庭を少なくとも週1回は訪問して中に入り、違法行為が行われている証拠がないか探るよう指導されている。

 さらに「重要人物」や「不穏分子」と呼ぶ人物に至っては、毎日訪問する。ウイグルの司法当局は、過激派に洗脳されやすい人の特徴として、信仰心が厚い人、パスポート所持者、16~45才のすべての男性、読み書きができない人などを挙げている。

 BBTUに派遣された工作組は阿克切坎勒村で、違法な宗教行為に従事したことがある村人、もしくはそのような人物を知っている人は届け出るよう呼び掛けるビラを貼った。

 工作組は人物調査書をまとめ、疑わしい人物は監視リストに載せ、毎日情報交換のためのミーティングを行う。

 BBTUは工作組の基準を公表していないが、他の地方政府では職員に、25件の違法行為と75件の過激派の兆候を警戒するよう通告している。これには、一見無害に見える「禁煙」や「テントを買う」などの行為も含まれている。

 地方政府のウェブサイトには、些細な違反でも1~3か月「教育的改造」施設へ収容されると記されている。

 そのような施設への収容は無期限で、適性な手続きも取られていない。収容者には軍隊風の訓練や、マルクス主義と中国語のクラスの受講など様々な思想改造が科せられる。

 BBTUの工作組は、6月までに情報提供者の助けを得て100近い「手掛かり」を収集したと述べている。工作組は当局に支援を求め、当局は容疑者を拘束し、「違法な宗教活動に長期的に携わっている集団を暴いた」という。