■核競争

 この他に想定される悪影響は、米国のイラン核合意からの離脱によって、核競争が起きることだ。

 トランプ氏は、JCPOAを離脱するという自身の決定は、そうした可能性に対処することが目的であるとし、「もし私がこの取引を黙って見ていれば、中東で核競争が起きる日もそう遠くないだろう」と述べていた。

 しかしトランプ氏の発表を受け、イランのハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領は、もし自国の利益が他の合意国によって保証されなければ、ウラン濃縮を無制限に再開する可能性もあると警告した。

 これについてドーシー氏は、「(イラン政府が)軍事的な計画を推し進めるか否かにかかわらず、中東では核競争が始まるだろう」との見方を示している。

 トランプ氏は8日、新たな核合意について検討する用意があると語ったが、これにはイランのミサイル計画を阻止する内容も含まれている。

 サウジでは、隣国イエメンの親イラン派武装組織による攻撃が相次いでいる。同国の国営メディアによると、9日にも同国空軍が首都リヤド上空で弾道ミサイル2基を迎撃した。

 サウジ政府は、イエメンの武装組織に弾道ミサイルを供給しているとして、イラン政府を長きにわたり非難しているが、イラン側はそうした事実はないと否定し続けている。

 しかし、ドーシー氏は、イランが弾道ミサイル計画で妥協することはないとみている。その理由については、「それが彼らの防衛政策の根幹だからだ」と説明した。(c)AFP/Alison Tahmizian Meuse