救急車呼んだ女性、相手にされず死亡 フランス社会に怒り広がる
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【5月10日 AFP】フランスで、ひどい腹痛に苦しみながら救急車を呼ぼうと緊急通報した若い女性がオペレーターにあざけられて相手にされず、数時間後に死亡していたことが分かり、国民の間に非難が広がっている。医療保険サービスへの予算増額を求める声も上がる中、仏検察当局は9日、捜査を開始した。
ナオミ・ムセンガ(Naomi Musenga)さん(当時22)は昨年12月29日、救急通報ダイヤルに電話し、深刻な腹痛を訴えた。遺族が最近になって入手した3分間の電話記録の中で、ムセンガさんはかろうじて聞き取れる小さな声で「体中が痛い」「もう死にそう……」などと話している。
ところが、通報を受信した女性オペレーターは「そのとおり、あなたは死ぬでしょう。皆と同じく、いつの日か」と応答。同僚と一緒になってムセンガさんの訴えをからかった後、医師に電話して往診を頼むよう告げた。
一人暮らしだったムセンガさんは5時間後、再び救急ダイヤルに電話。そこでようやく救急車が手配され、ムセンガさんは東部ストラスブール(Strasbourg)の病院に搬送されたが、到着後まもなく心臓発作で死亡した。
仏紙ルモンド(Le Monde)によると、検視解剖でムセンガさんは多臓器不全を起こしていたことが明らかになった。
ムセンガさんの姉妹のルワンジュ(Louange Musenga)さんは「人として、どうして今にも死にそうな人にこんなことが言えるのか、疑問に思わざるを得ない」とラジオ局フランス3アルザス(France 3 Alsace)に語った。
問題のオペレーターは停職処分を受けたが、検察によると「危機にある人を助けなかった容疑」で訴追される可能性がある。
ムセンガさんの死を受け、フランスでは医療保険制度に割く予算と資源を増やすよう求める声が再び高まっている。仏政府は既に大きな負担にあえぐ医療現場の問題に取り組み始めているが、ここ数週間にわたり医師らは病床不足で大勢の患者が廊下で寝ることを余儀なくされていると抗議しており、看護師をはじめとする医療従事者も人手不足と対応能力を上回る患者数をめぐって抗議を続けている。(c)AFP