鳥の渡り行動、省エネが目的か 研究
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【5月8日 AFP】一部の鳥は、冬の到来とともに温暖な地域に移動して餌を確保し、その数か月後には、今度は繁殖のために元の生息地に戻る。こうした渡りを絶え間なく続け、より多くの労力を自らに強いている理由は何だろうか。
7日に発表された研究論文によると、これはエネルギー効率の追求によるものだという。一見すると逆説的な発見だ。
今回の研究では、渡り鳥が渡り先で採取する餌から獲得できるエネルギーが、渡り先への往復の移動で消費するエネルギーや、渡りをせずに得られるエネルギーを上回ることが明らかにされた。
では、なぜ温暖な地域にだけとどまっていないのか。米科学誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション(Nature Ecology and Evolution)」に発表された論文によると、その理由は他種との間で餌をめぐる争いが過剰に発生するからだという。
鳥は温暖な地域にとどまらずに、寒冷な北半球の生息地に戻る。そこでは、餌をめぐって他種と争う必要がないのだ。
論文の共同執筆者で、英オックスフォード大学(University of Oxford)動物学部のマウリス・ソンベイユ(Marius Somveille)氏はAFPの取材に、今回の研究は「鳥がエネルギーの観点から見て最適な状態となるように分布するとする仮説に強力な裏付けを与えている」と語った。
鳥が餌を探し求めて移動することは知られていたが、こうした苦労の多い生活スタイルを選ぶ理由についてはこれまで謎のままだった。
今回の最新研究は、渡り鳥の行動だけでなく、一年中同じ地域で生活する定住性の留鳥の行動についても説明していると、論文の執筆者らは指摘する。
留鳥もまた、得られる餌とより良い環境とを比較検討した結果、渡り鳥とは異なる結論に達したわけだ。
大半の留鳥は、他地域に比べて採餌が容易な熱帯地方に生息している。