【5月7日 CNS】中国・広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)北海市(Beihai)潿洲島(Weizhou Island)海域に生息するクジラの群れの観察活動が、このほど終了した。国内の専門機関による1か月の海上観察により、観察していたクジラの群れは、大型クジラの群れであることがわかった。中国大陸近くの海域での発見は、初めてとなる。

 クジラの観察チームは4月26日、記者会見を開いた。南京師範大学(Nanjing Normal University)生命科学院の楊光(Yang Guang)院長は、「中国の海域面積は広いため分布しているクジラやイルカは比較的多いが、ほとんどは水深が深い沖合の方で生活していて、岸に近い場所で生活する大型クジラはまれ。観察の結果、潿洲島の海域には確認できるだけで10頭以上の大型クジラが生息している」と発表した。

 クジラの目撃情報が、潿洲島の島民や観光客から今年3月ごろから相次いで寄せられるようになり、話題になっていた。潿洲島旅行区管理委員会や専門チームは観察を開始し、クジラの種類や習性、海洋環境などを調査した。

 観察の結果、同海域に生息している大型クジラはニタリクジラか、その亜種か矮小種とみられる。また、同海域にはほかにも、長期生息しているクジラの群れが存在する可能性があるという。今回の調査は、大型クジラの生態学研究の分野にとって、大きな発見になった。

 南京師範大学生命科学院の陳炳耀(Chen Bingyao)副教授は、「クジラは海洋生態系の頂点にある捕食者で、周辺の海洋生態系が健康かどうかのバロメーターだ。ニタリクジラが潿洲島付近の海域に生息しているということは、同海域の生態系は比較的健康で、食物連鎖がクジラの生息に適している状態だと言える」と説明した。(c)CNS/JCM/AFPBB News