【5月3日 AFP】大学教授のセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)行為について情報公開を求めた女子学生に対し、中国・北京大学(Peking University)が圧力をかけて黙らせようとした問題で、テクノロジーに精通した活動家らがブロックチェーン技術を使い大学側に対抗している──。中国で芽生えたばかりのセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」を、ブロックチェーンを用いて検閲回避・存続させているのだ。

 一連の出来事は、北京大学の女子学生、岳昕(Yue Xin)さんが、1998年に同大で起きた性的嫌がらせ事件についての情報を公開するよう求め、これに対し大学側から学生に圧力がかかったことをきっかけに始まった。

 岳さんは、大学からの対応について書簡を発表。書簡は同国のソーシャルメディアを通じて広がったが、その後、すぐに削除された。

 しかし、4月23日夜、この書簡は分散型アプリケーションプラットフォーム「イーサリアム(Ethereum)」上に再び現れた。これ動きに対して、「残忍な独裁政治に対抗するためのテクノロジーの正しい使い方」「歴史的瞬間」といった数多くのコメントが集まった。

 中国の大学でも「#MeToo」の運動は広がっており、当局もここしばらくは、ソーシャルメディア上のセクハラに関するコメントを容認してきた。だが、北京大学での騒動については一線を越えたと判断したとみられ、中国版ツイッター(Twitter)の「微博(ウェイボー)」上で、岳さんの名前を検索しても、それにあたるものは何も出てこない。

 北京大学側に情報公開を求める請願書を作成したのは、同大外国語学部の岳さんら約20人。請願書では、教授から性的な嫌がらせを受け、その後自殺した女子学生についての調査の詳細を公開するよう求めていた。

 問題の教授は現在、南京大学(Nanjing University)で教えているが、4月初めに北京大学でこの問題が持ち上がり、その後停職処分となっている。