【5月1日 AFP】プライムタイムで台本のあるテレビシリーズ番組として最多エピソード数を達成した米人気アニメ「ザ・シンプソンズ(The Simpsons)」が、その内容に人種差別的要素を含んでいるとして論争を呼んでいる。

 米国では、プライムタイム以外で放映されている連続ドラマの中には1960年代から続いているものもあるが、同時間帯では「ザ・シンプソンズ」が最多エピソードを記録。4月29日夜に米テレビ局フォックス(Fox)で放送された第636話で、1955年から75年まで20年間続いた西部劇のテレビドラマ「ガンスモーク(Gunsmoke)」の記録を更新した。

「ザ・シンプソンズ」第1話は1989年に放映され、番組はこれまでにエミー賞(Emmy Awards)を30回以上受賞。放映当初は常に1500万人以上の視聴者を獲得し、1990年にはその倍の3300万人が視聴したエピソードもあった。その後、視聴者数の減少で番組継続が危ぶまれることもあったが、2016年にフォックスは2019年のシーズン30まで放映することを決定した。

 登場人物は、原子力発電所で働く一家の長ホーマー(Homer)、その妻で理性的なマージ(Marge)と3人の子どもたちバート(Bart)、リサ(Lisa)、マギー(Maggie)。

 この数か月、論争の的となっているのは、シリーズ開始以来の登場人物アプー・ナハサピーマペティロン(Apu Nahasapeemapetilon)だ。インド出身のコンビニエンスストア「Kwik-E-Mart」の店長で、声は白人俳優ハンク・アザリア(Hank Azaria)さんが担当している。この役に対してインド系俳優でコメディアンのハリ・コンダボル(Hari Kondabolu)さんは、昨年11月に放映されたドキュメンタリー「アプーにまつわる問題(原題:The Problem with Apu)」で、独特のなまりなど、インド人に対する紋切り型のイメージが誇張されていると批判した。

 番組側は4月8日に放送されたエピソードでこの問題に取り組む姿勢を示した。

 マージが、自分が買って来た児童書から誰かを不快にさせる恐れがある表現をすべて取り除いて読み聞かせをしようとしたところ、娘のリサはそれでは話が面白くなくなることに気が付く。「一昔前に始められたことで当時は称賛され、たわいないことだと思われていたのに、今では社会的にNGと見なされることがある」と言いながらアプーの写真を見て「どうしたらいいの?」と問い掛けるリサに、「いつかそのうちに解決することもあるわ」とマージは答えている。(c)AFP