【4月29日 AFP】シンガポールのリー・シェンロン(Lee Hsien Loong)首相は28日、同国で開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が中東で衰退している半面で東南アジアは「非常に現実的な」ISの脅威に直面していると述べ、サイバー攻撃のリスクもあると警告した。

 ASEAN加盟国10か国の一部は、かなり前からイスラム武装勢力対策に取り組んできたが、ISの出現は、過激派や再起した武装勢力の旗印になっている。ISは2016年、インドネシアの首都ジャカルタ(Jakarta)で死者を出した銃撃と自爆攻撃で、東南アジアでは初の犯行声明を発表した。また昨年は、フィリピン南部マラウィ(Marawi)の一部がIS系勢力に占拠され、数か月に及んだ戦闘や掃討作戦では数百人が死亡した。

 また、東南アジアでは経済成長とともに、デジタル技術を日常生活に取り入れる人々が急激に増えているため、サイバー攻撃の標的になる危険性も高まる可能性がある。

 リー首相はASEAN首脳会議の開幕演説で、ISがイラクやシリアでは軍事的に敗北したものの、約6億5000万人の人口を抱える東南アジアには引き続き脅威だと述べ、警戒感を示した。また、デジタル化の流れは、サイバー攻撃に対する東南アジア諸国の脆弱性を高めていると警告した。

 ASEAN加盟国の首脳は正式な会議に先立って行われた27日夜のワーキングディナーで、サイバー攻撃対策における連携を強化することで合意した。(c)AFP/Elizabeth Law