【4月28日 AFP】韓国各紙は28日、前日に開催された南北首脳会談について一定の評価は示したものの、手放しで歓迎することはせず、北朝鮮の非核化への確固たるコミットメントが欠けていると指摘する慎重な姿勢をみせた。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong Un)朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領は27日、非武装地帯で会談し、恒久的な和平協定の締結と、朝鮮半島の非核化を目指すことで合意。両首脳は、「韓国および北朝鮮は、完全なる非核化を通じて、核のない朝鮮半島の実現という共通目標を確認した」との共同宣言を発表した。

 保守系の朝鮮日報(Chosun Ilbo)は社説で、この合意は冷え込んだ南北関係の修復という点ではプラスだが、非核化という点では十分に踏み込んだ内容とはならなかったと述べた。

 同紙は「すべての核兵器と既存の核開発計画」を破棄し、外部査察団の検証を受け入れるとした「2005年の合意内容と比べると1歩後退した」かたちとなったと指摘し、「北朝鮮が過去25年間にわたって繰り返し行ってきたように、今回もまた立場を変えることがないよう、制裁と圧力を継続していくことが必要だ」とした。

 中央日報(JoongAng Daily)は、現在の状況は、米朝の首脳がわが国の核ボタンの方が大きくて強いと舌戦を繰り広げていた数か月前とは「大きく異なる」と書いた。

 しかしその一方で、「今回の首脳会談を通じて、非核化への道のりが極めて遠いことも明らかになった」とし、「金氏の考える非核化、そしてそれがいつ、どのようにして実現するのかについては、本人の見解が公にされることは一度としてなかった」と指摘している。

 そういった理由から、今回の合意をめぐっては、非核化に向けた長い道のりの始まりに過ぎないとの見方がなされているとしながら、「野球の試合にたとえればまだ1回の表だが、悪いスタートではない」とした。

 他方で、コリア・ヘラルド(Korea Herald)紙はこの「板門店(Panmunjom)宣言」について、より楽天的な見解を示し、南北首脳会談は米朝首脳会談への足掛かりとしての役割を十分に果たしたとしている。(c)AFP