【4月26日 AFP】テニスの下部大会で「大量」の八百長行為が横行していることが25日、同競技における不正を監視する独立調査委員会の発表で明らかになった。報告書によると、下部ツアーは競技の高潔性に反する行為の「温床」であり、賭博関連の不正がまん延しているという。

 八百長行為はフューチャーズ(Futures)やATPチャレンジャーツアー(ATP Challenger Tour)を主戦場とする、生計を立てることに苦しんでいる選手の間で生じており、オンライン賭博の台頭とも相まっているという。委員会のトップを務める弁護士のアダム・ルイス(Adam Lewis)氏は「選手にインセンティブを与える構造と報酬が、高潔性に反する行為の温床をつくり出している」と述べている。

「とりわけ、現在は主にツアーレベルでプレーしている選手だけしか、まともに生計を立てられない状態。約1万5000人のプロ選手が存在するが、コーチング費用を差し引いても収支が合うのは女子が上位250人、男子は上位350人のみだ」

 独立委員会は2016年1月、英BBCと米メディアのバズフィード(BuzzFeed)から四大大会(グランドスラム)優勝者を含むトップ選手が八百長に関わっていた証拠を得たとの訴えを受けて設置された。

 これまでに3000人を超える選手、大会主催者、連盟関係者、賭博業者に聞き取り調査を行った結果、グランドスラムやツアー大会で「複数の問題の証拠」が発見されたが、上位のレベルで八百長行為がまん延していることを裏付けるものは見つからなかったという。また、調査に応じた計14.5パーセントの選手が、直接的に八百長行為を見聞きしたと回答したが、トッププレーヤーが不正に関与していたことを示す証拠はつかめなかった。

 独立委員会は不正防止機関「テニス・インテグリティ・ユニット(TIU)」や国際テニス連盟(ITF)、男子プロテニス協会(ATP)などによる隠ぺいの証拠もなかったとしているが、ITFとATPが取った複数の対応は「不適切で効果がなかった」と批判している。

 その一方で独立委員会は、大会数の削減をはじめ、下部レベルの大会における公式ライブスコアの廃止、賭博に関連したスポンサーシップの排除を挙げ、プロテニスの再建を提案している。(c)AFP/Pirate IRWIN