難病を抱えるエバートンファンの少年、世界初のロボット・マスコットとして試合に登場
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【4月24日 AFP】イングランド・プレミアリーグ、エバートン(Everton)のファンで難病を患っている14歳のジャック・マクリンデン(Jack McLinden)くんが、23日に行われたニューカッスル(Newcastle United)とのリーグ戦の試合前に、世界初の「バーチャル・マッチデー・マスコット」として登場するという歴史を刻んだ。
複数の疾患を抱えて車いす生活を余儀なくされているジャックくんは、ノルウェーの企業が開発したテレプレゼンス・ロボットの「AV1」を通じてエスコートキッズを務めるという一生に一度の経験を味わった。このロボットにはピッチ上での仮想体験を可能にするカメラ、マイク、スピーカーが搭載されており、スタジアムから離れた場所にいる子どもが試合のマスコットとして登場するのは、これが初めての試みとなる。
この日の試合では、エバートンの主将を務めるフィル・ジャギエルカ(Phil Jagielka)が「AV1」を両手で持ちながらチームの先頭に立ってピッチに入場。このロボットはマクリンデン家の自宅にあるiPad(アイパッド)につながっており、ジャックくんはこれをアバターとして、スタジアム内の様子をリアルタイムに見たり聞いたりすることが可能となった。
今回の交流プログラムの責任者を務めるエバートンのスコット・マクレオド(Scott McLeod)氏は、「ジャックくんとこのような機会に恵まれたことをとても喜んでいる。この思い出が彼にとって生涯の宝物になることを願っている」と述べた。
「AV1」は闘病生活の孤独と闘っている子どもや若者たちが学校の授業や社会活動に参加できるように開発されたロボットで、この装置をスマートフォンやタブレットにつなげることで、物事を見たり聞いたりすることや他人とのコミュニケーションが可能となる。
難病の子どもたちと家族を支援する慈善団体「ウェルチャイルド(WellChild)」の最高経営責任者(CEO)を務めるコリン・ダイアー(Colin Dyer)氏は、このテクノロジーが孤独を緩和する手助けになるとしており、「自由にどこにも行けないという複雑な状況を抱えている子たちにとって、この小さなロボットは大きな恩恵になると考えている。自宅で難病の子どもを介護している家庭の数は増加している。このような状況に直面している多くの子どもたちやご家族にとって、孤独は共通の問題であることをわれわれは認識している」と述べた。(c)AFP