【4月22日 AFP】マレーシアで21日、パレスチナ人の大学講師でイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)のメンバーである男性が殺害された事件をめぐり、遺族がイスラエルの対外諜報機関モサド(Mossad)による暗殺だと非難した。

 パレスチナ人のファディ・モハマド・バッシュ(Fadi Mohammad al-Batsh)氏(35)は、マレーシアの首都クアラルンプール(Kuala Lumpur)で、イスラム教の夜明けの礼拝へ向かおうとしていたところ、バイクに乗った2人組に路上で銃撃され死亡した。この2人組についてマレーシア当局は、外国の情報機関との関係が推測されると発表した。

 ハマスは同氏がメンバーの1人であり、エネルギー問題を専門とする科学研究者だったと述べている。また在マレーシアのパレスチナ代表、アンワル・アグハ(Anwar al-Agha)氏によると、バッシュ氏は妻との間に3人の子を持ち、過去10年ほどマレーシアに在住し、電子工学の講師をしていた。

 マレーシアの警察当局は、欧州出身者とみられる容疑者2人を追跡するために国際刑事警察機構(インターポール、InterpolICPO)の協力を仰ぐとしている。

 バッシュ氏の遺族は、ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)から声明を発表し、「暗殺の背後にいるモサドを非難する」と糾弾した。クアラルンプール警察署長によると、実行犯らは同氏を襲撃するまで20分ほど待ち伏せしていたことが、現場近くの監視カメラの映像で判明している。

 一方、ハマスは同氏殺害に関してイスラエルを直接非難することはせず、バッシュ氏は「殉教者だ」と述べるにとどまっている。

 モサドは過去にパレスチナ人の戦闘員や科学者を暗殺してきたと考えられているが、そうした作戦の存在を認めたことは一度もない。(c)AFP