NATO本部が移転、雨漏りする旧軍病院から未来的な建物に
このニュースをシェア
【4月20日 AFP】ベルギー・ブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)新本部は未来的な曲線的な屋根、ガラスと鋼鉄の輝く壁、環境に優しい機能を備えており、冷戦(Cold War)時代の陰謀のにおいが残る狭苦しい低層の旧本部とは大違いだ。
旧本部から新本部への移転は現在約半分が完了しており、7月のNATO首脳会議に間に合うよう6月半ばまでに完了させることになっている。イエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長も今月末に新本部にオフィスを移す。
女性として初めて、NATOの最高意思決定機関、北大西洋理事会(NAC)の議長を務めたローズ・ゴッテモラー(Rose Gottemoller)事務次長は、冬の嵐のおかげで本部の移転の必要性を痛感したと語った。
ゴッテモラー氏は記者会見で「デスクに向かっていると、突然背後でポタポタポタと音がした。オフィスでひどい雨漏りが起きていたのだ」「デスクに向かっている時に感電死しないようにプリンターを移動させた。もう移転する頃合いだろう」と述べた。
27日に開催されるNATO外相会合は70回目となるが、旧本部で開催される最後の外相会談となる。
もともとは軍病院として立てられた旧本部は、加盟国が15か国から29か国に増加して以来拡張が続けてきたが、駐車場にプレハブが建てられている状態で、これ以上拡張する余裕はなくなっていた。
新本部の建設費は11億7000万ユーロ(約1560億円)。太陽のエネルギーを効率よく使って暖房や空調に使用する電力を減らしたり、屋根から雨水を集めてトイレや庭の水やりに利用したりといった環境品質が自慢だ。
事務所面積25万4000平方メートルの新本部は中央ホールを備えており、4000人のスタッフ間の交流促進が意図されている。
しかし21世紀の建物には21世紀なりの課題がある。新本部は、サイバー戦争の脅威の高まりに耐えられるだけの信頼のおけるITシステムを備えていなければならない。ロシアとの関係が緊迫化している今はなおさらだ。(c)AFP/Damon WAKE