【4月20日 AFP】米国では21世紀に入って学校での銃乱射事件が急増しており、犠牲者数は過去18年間で既に20世紀を通じて記録された死者数を上回ったとする研究結果が、19日に発表された。

 学術誌「ジャーナル・オブ・チャイルド・アンド・ファミリー・スタディーズ(Journal of Child and Family Studies)」に掲載された報告では、「少なくとも1人の乱射犯が、少なくとも自分以外の4人を故意に殺害・負傷させた事件」を銃乱射事件と定義。5~18歳の児童や生徒が通う米国内の学校で発生した銃乱射事件について、件数と死者数を調べた。

 ギャングによる銃撃事件や、大学構内で起きた乱射事件はこの研究には含まれていない。また、研究結果によれば「この定義に該当する学校銃乱射事件は、1940年以前には確認されなかった」という。

 定義に当てはまる初の事例である1940年の事件は、中学校の校長が年度末で解雇されると思い込み、教育長や地区事務長、高校の校長、教師2人の計5人を射殺した後、自殺したというものだった。

 1950~60年代には定義に該当する学校銃乱射事件は一件もなかったが、「1979年に精神状態に問題を抱えた16歳少女が小学校で銃を乱射し、大人2人を殺害、児童8人と大人1人を負傷させた事件が起きて以降、件数は徐々に増加」。1990年代には13件の事件で36人が死亡した。

 1940~99年の60年間で合わせて22件の学校銃乱射事件が発生し、55人が犠牲となっていたことが分かったという。

 一方、研究チームによると2000年以降、現在までに起きた22件の学校銃乱射事件では計66人が死亡。21世紀に入ってから「18年足らずで20世紀全体の死者数を上回った」と、主執筆者の米クレムゾン大学(Clemson University)のアンドニス・カチヤニス(Antonis Katsiyannis)氏は指摘している。

「憂慮すべき一つの傾向は、21世紀に入ってからの銃乱射犯の圧倒的多数が未成年者だということだ。若者が容易に銃を入手できるようになったことや、メンタルの問題に悩む子が増えていること、対人トラブルの解決力があまりないことを示唆している」と同氏は述べている。

 米学校銃乱射の実行犯が11~18歳の未成年者だった割合は、20世紀では60%だったが、21世紀に入ってからは77%となっている。(c)AFP