極楽よりもなぜか想像力も表現力も豊かな地獄絵図 都築響一さん写真展「渋谷残酷劇場」
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【4月19日 AFPBB News】恐ろしいのがわかっているのに、見てしまう──。指の隙間からちらりとのぞき見てしまうような、不気味なオブジェや地獄を表現した彫刻群などを活写した展覧会「渋谷残酷劇場(Shibuya Hell Garden)」が、東京・渋谷で開催中だ。会場にはゾンビに扮(ふん)した女性がうろつき、雰囲気を盛り上げている。
写真家で編集者の都築響一(Kyoichi Tsuzuki)さんが約20年かけて、国内のほかロシアや台湾など10か国をめぐって撮りためた写真を展示。顔に針などを通す苦行のパレードで有名なタイの「ベジタリアン・フェスティバル」や、チェコの人骨でできた納骨堂、アジア各地の地獄寺など約280枚の写真がぐるりと会場を囲んでいる様子は、地獄の絵巻物のようだ。
「天国や極楽の表現はワンパターンなのに対し、地獄はすごい想像力を働かせてつくられている」と都築さん。撮影対象の地獄の造形物は、アーティストではなく地域の人々や施設職員の手によるものが多く、「だからこそ純粋な思いが込められている」と都築さんはみる。
展示作品の中には、今は存在しない施設を写したものも含まれている。人間を痛めつける鬼のジオラマが展示されていた宮城県の「仙台武家屋敷・人間教育館」は、青少年の非行をなくしたいという純粋な願いから誕生したが、2011年の東日本大震災後に閉鎖された。このような歴史教育施設も、施設の老朽化、または批判ゆえか、さまざまな理由から少なくなりつつある。5月13日まで。18歳未満入場不可。(c)AFPBB News