ケンドリック・ラマー、ピュリツァー賞受賞 ラッパー初の快挙
このニュースをシェア
【4月17日 AFP】米ラッパーのケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar、30)が16日、アルバム「DAMN. 」で「ピュリツァー賞(Pulitzer Prize)」賞音楽部門を受賞する快挙を成し遂げた。ラッパーによる同賞受賞は初。選考委員会はアフリカ系米国人の体験を伝えるラマーの手腕によるものだと評価している。
米ロサンゼルスの貧困地区コンプトン(Compton)出身のラマーは今回の受賞で、歴代の同賞受賞者アーロン・コープランド(Aaron Copland)、チャールズ・アイヴズ(Charles Ives)、ジョン・アダムズ(John Adams)ら米国を代表する作曲家の仲間入りを果たした。
ラマーはアルバムごとに音楽性を変えているが、アルバム「DAMN.」では典型的なヒップホップサウンドを追求している。
ピュリツァー賞委員会は「DAMN.」について、「アフリカ系米国人が使うリアルな言葉遣いとダイナミックなリズムを一体化させた技巧的な楽曲集は、現代のアフリカ系米国人の人生の複雑さを捉えた心を打つエピソードを映し出している」と評価している。
ラマーは米アルバムチャートの1位を獲得した「DAMN.」で、前作「To Pimp a Butterfly」で取り上げた人種についての対話をさらに進めるとともに、ジャズと話し言葉の要素を取り入れ、白人警官による黒人射殺事件への抗議運動「Black Lives Matter (黒人の命は大切)」に関するメッセージを表明している。
ピュリツァー賞をメインストリームの音楽が受賞することはほとんどない。当初はジャズミュージシャンの受賞が多かったが、1990年代半ばごろからその他のジャンルの音楽も選ばれるようになり、ヒップホップでは、2016年にリン・マニュエル・ミランダ(Lin-Manuel Miranda)が米建国の父の生涯をヒップホップでつづったミュージカル「ハミルトン(Hamilton)」で戯曲部門を受賞している。
ラマーは今回ピュリツァー賞を受賞したものの、音楽業界で最高の栄誉とされるグラミー賞(Grammy Awards)の主要部門であるアルバム賞では「To Pimp a Butterfly」「DAMN.」ともに他のアーティストのポップミュージックアルバムに敗れて受賞を逃している。(c)AFP