【4月13日 CNS】最近中国では、「米国が中国からの輸入製品に対し高額の関税がかかれば中国の対米黒字幅が縮小し、中国は人民元切り下げで対抗するのではないか」という見方が浮上している。

 これに対し、中国国家外貨管理局国際収支司の管涛(Guan Tao)元司長は、「国際市場から見ると、中米貿易摩擦は人民元の大幅な切り下げには発展しない。中国政府は人民元を切り下げてまで輸出を促進する必要はない。中国の対米貿易黒字が減少するということは、そのほかの国に対する貿易黒字が拡大する、もしくは貿易赤字が減少する可能性があるということだ」と指摘した。また、「人民元が強含みしている最大の要因は、市場の力だ」と強調した。

 3月中旬から現在まで人民元は1ドル6.3元前後で推移し、2015年以来最高水準となっている。

 管元司長は、「貿易摩擦に対し人民元切り下げで対抗するという間違った情報を流し、利益を得たり政策の方向性を測ろうとしたりしている人がいるようだが、投資家は冷静に判断し、誘導されないようにするべきだ」とした上で、「中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)は徐々に為替水準への介入から手を引いている。人民元為替レートの変動は市場の需給バランスによって決まっている」と話した。

 北京大学(Peking University)国家発展研究院の余淼傑(Yu Miaojie)副院長は、「人民元切り下げが輸出に有利で、米国の高額関税に対抗するひとつの手段であっても、ほかの国の反感を買い、中国の名声を傷つけかねない行為だ」と話した。(c)CNS/JCM/AFPBB News