「安全なアルコール摂取量」実は安全でないかも、国際研究
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【4月13日 AFP】安全なアルコール摂取量として推奨されている基準は多くの先進国で高すぎ、命を守るためには摂取量の限度をもっと下げる必要があると示唆する研究結果が13日、発表された。
英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された論文によると、1週間当たり100グラムを超えるアルコールを定期的に摂取している人では、男女ともに平均余命が短くなる傾向がみられたという。これはワインではグラス5~6杯、ビールでも中ジョッキ5~6杯分に相当する。
「イタリア、ポルトガル、スペインではアルコール摂取量の上限が100グラムを50%超過している。米国では男性の摂取上限が(100グラムの)ほぼ2倍だ」と研究者らは指摘している。
国際研究チームは、高所得国19か国で行われた研究83件のデータを基に、定期的に飲酒している30歳~100歳の男女、約60万人について分析した。対象者は調査参加への同意後少なくとも1年にわたり観察対象となり、年齢や性別、社会経済的地位、糖尿病歴、喫煙の有無など健康に関する情報も考慮された。
対象者のうち4万310人が死亡。研究チームはこれを対象者が各自で記録した飲酒量と比較した。
分析結果によると、1週間に純アルコール100~200グラム相当の酒を飲んでいた人の平均余命は、飲酒量が100グラム相当を下回っていた人よりも約6か月短かった。また、1週間当たり200~350グラムのアルコールを摂取していた人の平均余命は1~2年短く、350グラム以上になると最大5年も短かったという。
論文を共同執筆した米デューク大学(Duke University)のダン・ブレーザー(Dan Blazer)氏は、「これまで安全だと考えられていたアルコール摂取量が、実は平均余命の短縮とさまざまな健康状態の悪化につながっていることを示す研究だ」と述べている。(c)AFP/ Emma CLARK