【4月12日 AFP】自動車部品大手タカタ(Takata)は12日、米企業への事業譲渡が完了したことを受けて、高田重久(Shigehisa Takada)会長兼社長が正式に退任したと発表した。これにより、欠陥エアバッグ問題で経営が破綻した同社の社名も消滅した。

「タカタ」ブランドは1933年、重久氏の祖父が繊維メーカーを立ち上げた際に誕生。今回の事業譲渡で、その85年の歴史に幕が引かれた。

 タカタは会長兼社長の辞任を発表する声明で、「当社製エアバッグの不具合により、顧客、債権者、株主をはじめとする多くの皆さまに多大なるご迷惑をお掛けする事態となり、改めて深くお詫び申し上げる」と陳謝した。

 世界で少なくとも21人の死者を出したタカタの欠陥エアバッグ問題は、トヨタ自動車(Toyota Motor)やゼネラル・モーターズ(GM)を含め、世界の大手自動車メーカーほぼ全社に影響を及ぼし、業界史上最大のリコールを招いた。タカタは昨年6月に民事再生法の適用を申請。1兆円超とされる負債を抱え、複数の訴訟にも直面している。

 タカタの事業は、問題のエアバッグ事業を除き、米自動車部品メーカーのキー・セイフティー・システムズ(KSS)に譲渡された。KSSは15億8000万ドル(約1700億円)でタカタのほぼすべての事業を買収し、買収後に社名をジョイソン・セイフティ・システムズ(Joyson Safety Systems)に変更した。(c)AFP