旧ユーゴ戦犯控訴審、シェシェリ被告の無罪破棄も再拘束せず
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【4月12日 AFP】オランダ・ハーグの旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)を継承した国際刑事法廷メカニズム(MICT)は11日、戦争犯罪と人道に対する罪に問われていたセルビア急進党の党首、ボイスラフ・シェシェリ(Vojislav Seselj)被告の控訴審で、一審の無罪判決を覆し、禁錮10年の有罪判決を言い渡した。一方、MICTは、被告はすでに12年の勾留されていたため、改めて身柄を拘束されることはないとした。
シェシェリ氏は判決後、AFPに対し、迫害の扇動を含め、有罪とされた犯罪行為を「誇り」に思っているとし、また同じことをする用意があると語った。
シェシェリ被告は公判を無視して出廷せず、判決は被告不在で言い渡された。
同被告は2016年3月、ICTYでの8年余りに及ぶ裁判の末に下された一審判決で、戦争犯罪6件と人道に対する罪3件について無罪を言い渡された。判決は、検察側によって「合理的な疑いを超える立証」がなされず、十分な証拠が示されなかったとの判断を示していた。
だが11日の控訴審判決は、戦争犯罪6件について一審を支持する一方、人道に対する罪3件を有罪とした。
テオドア・メロン(Theodor Meron)裁判長は、一審は「関係性の高い証拠の相当な部分および自らが認定した事実を無視したか、事実認定を誤った」とした。
検察側は長期にわたる審理のなかで、ユーゴ紛争さなかの1991年から1993年にかけて行われたクロアチア系、ムスリムなど非セルビア系住民多数の殺害に対する責任がシェシェリ被告にあると主張。被告を「大セルビアの宣伝活動の最高責任者」と呼び、28年の禁錮刑を求刑した。
検察によれば、同被告は、自身の大セルビアの理念に反対すればボスニアに「血の川」が流れるなどと警告していた。
シェシェリ被告は検察側の主張を否定し、検察が問題とした2回の演説はなかったとした。
一審判決は、演説は暴力を扇動するものではなく、「セルビア部隊の士気を高めることで、戦争遂行努力に参加した」だけだと判断した。
一方、控訴審判決は、被告の「扇情的な言葉」が非セルビア系住民に対する迫害や強制退去に「かなりの程度寄与した」と述べ、強く非難した。(c)AFP/Jan Hennop and Jo Biddle