アサド政権の化学兵器使用が疑われる理由
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【4月12日 AFP】シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が7日、首都ダマスカス近郊の東グータ(Eastern Ghouta)地区ドゥマ(Douma)で化学兵器を使用したとの疑惑について専門家らは、同市郊外で包囲された反体制派側の最後の地区を奪還するために、政権側が最終戦術として用いた可能性があるとみている。
東グータの反体制派最後の拠点となっているドゥマへの化学兵器使用が疑われる攻撃について、救助・医療関係者らは、少なくとも40人が死亡し、数百人が化学物質への暴露と一致する症状を呈していることを明らかにしている。
ドゥマへの攻撃で国際社会は激怒。米国は軍事的な対抗措置の可能性を警告しているが、これまでのところ化学兵器の使用を独自に証明することはできていない。
だが専門家らは、アサド政権が軍にこれ以上の犠牲者を出さないようにするため、また政権側が設定した条件に基づき、ドゥマを拠点とする反体制派武装勢力「ジャイシュ・アル・イスラム(Jaish al-Islam、イスラム軍)」を確実に撤退させるために、塩素ガス攻撃を選択した可能性があると主張している。
2月中旬以降、アサド政権は東グータ地区のほぼ全域を奪還してきたが、最後の一画であるドゥマに残った反体制派勢力は前週まで撤退を断固拒否していた。しかし政権側は7日の攻撃後、ジャイシュ・アル・イスラムの戦闘員が退却に合意したと発表した。
米大西洋評議会中東センター(Rafik Hariri Center for the Middle East)のアナリスト、ファイサル・イタニ(Faysal Itani)氏は、アサド政権軍が「自分たちにとって最も重要な戦闘の要衝」を確保するために「戦場での戦術」として化学兵器の使用が選択された可能性を指摘する。「政権軍は選択を迫られた。戦闘経験豊富な強硬派のジャイシュ・アル・イスラムを相手に凄惨な戦闘を延々と続けるか、化学兵器を使うか」。戦術として後者は「(反体制側の)前線の士気をくじき、パニックを起こさせる上で非常に効果がある」
シリア内戦では、過去7年間で35万人が死亡し、数百万人が避難を余儀なくされている。アサド政権にとって東グータの奪還は大きな勝利だろう。これによって政権軍はジャイシュ・アル・イスラムとの戦闘から解き放たれ、首都の安全を確保できる。それと同時に、北西部のイドリブ(Idlib)県や南部ダルアー(Daraa)県を含む他地域から反体制派を駆逐するための余裕も生まれる。