【4月6日 AFP】(写真追加)アライグマは通常、警戒心が強く、人目を避けて夜間に活動する動物だ。だが、米オハイオ州ではアライグマの異常な行動が相次いで目撃されており、警察は日中に出現して周囲を威嚇するこの野生動物の奇妙な行動を報告している。

 地元テレビ局WKBNによると、オハイオ州ヤングスタウン(Youngstown)の警察はこの2週間、アライグマの「ゾンビ」を目撃したという住民からの通報約15件に対応したという。

 目撃者らの話では、アライグマは人に対して攻撃的な姿勢を取り、怖がるそぶりも見せず、音や身ぶりで追い払おうとしても全く動じなかったという。

 元銀行員で、現在は自然写真家として活動するロバート・コグスホール(Robert Coggeshall)さんは、自宅の庭で飼い犬と遊んでいたところに現れたアライグマの「極めて異常な行動」について、WKBNの取材に次のように述べている。

「アライグマは後ろ足だけで立ち上がった。こんなことをするアライグマを見たのは初めてだ。牙をむいたと思ったら今度は後方に倒れ、昏睡(こんすい)状態のようになった」

「その後、アライグマは意識を取り戻して歩き回ったが、また同じことをした。後ろ足で立ち上がり、牙をむいた」

 コグスホールさんが撮影した、立ち上がり、口をゆがめ、唾液を滴らせているアライグマの写真はインターネット上で急速に拡散した。

 このアライグマは最終的に安楽死させられた。同地域に現れた他のアライグマにも同様の措置が取られたという。

 オハイオ州の環境保護当局はアライグマの異常行動の原因について、狂犬病の地域的な発生は否定した上で、犬ジステンパーが疑われると指摘している。犬に典型的に見られるウイルス性感染症の犬ジステンパーだが、野生動物の個体群で拡散することもある。(c)AFP