さよならは言わない──中国の「天宮1号」、大気圏へ突入
このニュースをシェア
【4月6日 CNS】広大な宇宙へ旅立ち、最期は大気圏へ突入……天宮1号(Tiangong-1)は遠くへ行ってしまった。
中国有人宇宙プログラム室(CMSEO)は2日、北京(Beijing)宇宙飛行管制センターと関連機関の観測分析の結果、天宮1号「目標飛行器」は2日午前8時15分ごろに大気圏に再突入し、ほとんどの部品は大気圏再突入の際に燃え尽きたと発表した。再突入落下地点は南太平洋の真ん中という。天宮1号の「最期」だった。
天宮1号は、中国初のドッキング任務を帯びた目標飛行器であり、広い宇宙の中で初めての中国の「家」だった。中華民族の長年の宇宙への夢を乗せた天宮1号について、振り返ってみたい。
■2011年9月29日:「中国宮」 、巨大な龍が果てしない宇宙へ舞い登る
この日、宇宙は「中国宮」を迎え入れた。午後9時16分、中国の宇宙の歴史に刻まれる運命の時刻、長征2号F(Long March-2F)ロケットに運ばれ、天宮1号は300キロ以上上空にある広大な宇宙へと飛び立った。
天宮1号は、全長10.4メートル、最大直径3.35メートルで、実験装置室と物資保管室から構成されている。天宮1号の発射は、中国が宇宙への「三歩走(三段跳び)」戦略の二歩目を踏み出したことを示している。
■2011年11月3日:「宇宙でキス」、無人宇宙船「神舟8号(Shenzhou VIII)」と
打ち上げから32日、地球を485周した後、天宮1号は地上から343キロの軌道に入った。
午前1時36分、天宮1号「目標飛行器」と無人飛行船の神舟8号は順調に初のランデブー、ドッキングに成功。その様子を、人びとは「宇宙でキス」にたとえた。
共に地球の周りを12日間回った後、天宮1号と神舟8号は一旦分離し、11月14日午後8時ちょうどに二度目のランデブー、ドッキングに成功した。
3日後、天宮1号は神舟8号から離れ、長期運行の軌道へ戻った。
■2012年6月24日:中国初の有人ランデブーとドッキング
12年6月18日午後2時ごろ、天宮1号は中国初となる有人飛行船、神舟9号(Shenzhou-9)とのドッキングに成功。同午後5時4分、中国人宇宙飛行士の景海鵬(Jing Haipeng)さん、劉旺(Liu Wang)さん、劉洋(Liu Yang)さんが天宮1号へ乗り込んだことで、天宮1号は本当の意味で宇宙の「中国の家」となった。
同24日、劉旺さんの操縦により神舟9号と天宮1号は、初となる手動でのドッキングに成功。7分以内、誤差18ミリという精度は、世界の喝采を浴びた。中国が初の有人ランデブー、ドッキングに成功した瞬間だった。
28日、10日間滞在ののち、宇宙飛行士たちは天宮1号に別れを告げた。
■2013年6月20日:宇宙授業
中国で初となる「宇宙授業」が地上との生中継で行われた。
地球から300キロ以上離れた教壇——天宮1号から、宇宙飛行士の聶海勝(Nie Haisheng)さん、張暁光(Zhang Xiaoguang)さん、王亜平(Wang Yaping)さんによる全国の青少年へ向けて、宇宙からの授業が行われた。
中国の8万校、数千万人の教師や生徒がラジオ、テレビ、インターネット生中継などで宇宙から届いた授業に見入った。
■「最期」の時、さよならは言わない
16年3月16日、天宮1号「目標飛行器」はデータサービスを停止。完全に使命を果たし、軌道減衰期に入った。
天宮1号が果たした先駆的な貢献により、中国は20年に長期有人滞在を視野に入れた大規模な宇宙実験室の建設を計画している。
天宮1号は、中国や世界に宇宙の美しさやすばらしさを伝えてくれた。天宮2号が継ぐ。中国の宇宙への歩みは止まることはない。(c)CNS/JCM/AFPBB News