【4月5日 AFP】太陽系を含む天の川銀河(銀河系、Milky Way)の中心のブラックホールを12個検出したとする天体物理学者チームの研究結果が4日、発表された。この結果に基づくと、銀河中心にはブラックホールが1万個存在する可能性があるという。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された論文によると、あらゆる大型銀河の中心には超大質量ブラックホールがあり、それが数多くのより小さなブラックホールに取り囲まれているとする説があり、今回の発見はこの長年支持されている説に初の証拠を提供するものになるという。

 論文の共同執筆者で、米コロンビア大学(Columbia University)の天体物理学者のチャック・ヘイリー(Chuck Hailey)氏はAFPの取材に、銀河系の中心にあるブラックホール「射手座A*(Sagittarius A*)」を取り巻く「ブラックホールを12個観測した」と述べ、そして「だが、これは氷山の一角にすぎない」と語った。

 ヘイリー氏と研究チームは今回、「見えない」天体のブラックホールを検出するために、伴星を持つブラックホールの連星系を探索した。このような連星系は、ブラックホールが近くを通過する恒星を捕捉し、重力的に結びついて形成される場合がある。

 ブラックホールが捕捉した恒星が低質量星の場合、連星から放出されるX線バーストは、強度は低いが安定しているため、より容易に観測できるという。

 研究チームはこの特徴的なX線を観測し、射手座A*から3光年以内にあるブラックホール連星を12個検出した。

■「膨大な数のブラックホール」

 地球のより近傍にあるブラックホールの研究データに基づき、研究チームは銀河系中心の周囲にブラックホールの連星系が全部で約500個存在すると推定した。これらの大半は放射強度が低すぎて観測できない。

「最終段階は理論によってもたらされる。理論では、孤立したブラックホールの中で最終的に(連星を形成するための)伴星を見つけるものは約20個に1個にすぎないと推測されている」と、ヘイリー氏は説明。「従って、推定値の500個を20倍すれば、(射手座A*の周囲に)孤立したブラックホールが約1万個存在することになる」と続けた。

 銀河系内で、銀河中心から離れた場所にあるブラックホールはこれまでに60個特定されている。

「銀河系は極めて標準的な銀河なので、ここで膨大な数のブラックホールが確認されるならば、大半の銀河の中心には膨大な数のブラックホールが存在するに違いない」と、ヘイリー氏は話した。(c)AFP/Mariëtte Le Roux