「新たなキューバ危機」、ロ対外情報局長官が元スパイ毒殺未遂で忠告
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【4月4日 AFP】ロシアの情報機関である対外情報局(SVR)のセルゲイ・ナルイシキン(Sergei Naryshkin)長官は4日、英国で起きたロシア人元二重スパイの毒殺未遂事件は、米英の治安当局による「グロテスクな挑発」だと述べ、事態を新たな「キューバ危機」へと至らしめないよう忠告した。
ナルイシキン長官はモスクワで開かれた安全保障に関する会議に出席し、毒物で襲撃されたセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏とその娘のユリア(Yulia Skripal)さんについて触れ、「米英の治安当局によってぞんざいにでっち上げられたスクリパリ親子に関する挑発については、多くの欧州諸国は何の疑いもなしに英政府や米政府を追随する気はなく、むしろ何が起きたのか詳細に調べたいと思っている」と語った。
ナルイシキン氏はまた、ロシア政府と西側諸国は、現在の対立した状態を、冷戦時代に達した危険な段階に高めるようなリスクは避けなければならないと主張。核戦争寸前まで緊張が高まった1962年の米国と旧ソ連の対立に触れ、「大切なのはリスクを高める無責任な駆け引きや、国家間の実力行使をやめ、事態を新たなキューバ危機へと至らしめないことだ」と述べた。
さらにナルイシキン氏は、存在もしないロシアの脅威と戦うということが、米政府にとって冷戦時代と同規模で真の強迫観念となっていると主張。「西側は変化の恐怖におののき、周囲に新たな鉄のカーテンを張ろうとしている」と語り、西側諸国がかつて旧ソ連にしたように、ロシアを遮断しうとしているとの考えを示した。(c)AFP