【4月4日 AFP】ノルウェーを代表するバイアスロンのスター選手で、冬季五輪の男子選手のメダル獲得数で歴代最多を誇るオーレ・アイナル・ビョルンダーレン(Ole Einar Bjoerndalen)が、今季限りでの現役引退を発表した。

 44歳のビョルンダーレンは、「もうあと何シーズンかは続けたいと思っていたが、これが自分の最後のシーズンになる」と涙を流しながらに明かし、自身の健康と家族と過ごす時間を引退の理由に挙げた。

 1993年3月にプロデビューを果たして以来、ビョルンダーレンは冬季五輪で金メダル8個、銀4個、銅1個の計13個のメダルを獲得している。これは冬季五輪の男子選手としては最も多い数で、男女を通じても、2月の平昌冬季五輪でも活躍を見せ、通算15個の新記録を作った同胞のスター、クロスカントリースキーのマリット・ビョルゲン(Marit Bjoergen)に次ぐ2番目の記録となる。

 ビョルンダーレンは、2002年のソルトレークシティ冬季五輪で、バイアスロンの実施4種目すべてで金メダルを獲得する「グランドスラム」を達成した。しかし本人は、その4年前の長野五輪が「人生で最も鮮烈な体験だった」と話している。

 長野でのビョルンダーレンは、男子10キロスプリントで悪天候により自身初の五輪の金メダル獲得がお預けになる不運に見舞われながら、気持ちを立て直して翌日に延期されたレースで見事に金メダルを獲得した。フランスのラファエル・ポワレ(Raphael Poiree)との激しいライバル関係が生まれ、バイアスロンがメディアの大きな注目を集め始めたのもこのころだった。

「人食い」の異名を取るビョルンダーレンは、これまでの驚異的なキャリアで、クロスカントリースキー1勝を含むW杯個人96勝を挙げ、表彰台に179回上がり、6回の総合優勝を成し遂げた。しかし今シーズンは結果が振るわず、平昌出場も逃した。それでも平昌では、夫人であるベラルーシのダリア・ドムラチェワ(Darya Domracheva)のコーチとして、同選手の個人での銀、リレーでの金メダル獲得に貢献した。

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は、ビョルンダーレンを「模範」とたたえた。

「オーレ・アイナル・ビョルンダーレンは史上最高の選手の1人で、そのことを何度も証明している。しかしそれ以上に重要なのは、彼が真のオリンピアンとして、そして世界中の若い選手の模範としての地位を確立したことだ」 (c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES