繁殖期のホッキョククジラ、自作曲を歌っていた 研究
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【4月4日 AFP】完璧な闇に包まれた冬の北極地域で、ホッキョククジラたちがどのように繁殖期を過ごしているかご存知だろうか。彼らは自分で作曲した歌を歌い合っているのだという。
デンマーク領グリーンランド(Greenland)の東海岸沖では秋の終わりから早春にかけて、絶滅の危機にあるホッキョククジラおよそ200頭が歌い合う光景がみられるが、英国王立協会(Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に4日に公表された論文によると、これらの歌はホッキョククジラが個々に作り出したオリジナルソングのレパートリーなのだ。
論文の主筆者である米シアトルのワシントン大学(University of Washington)応用物理学研究所のケイト・スタッフォード(Kate Stafford)氏は、彼らの歌を耳にした時に「とても驚いた」という。
スタッフォード氏は、ホッキョククジラたちが11月から4月まで毎日24時間、止まることなく「大きな声で歌い続けていた」と明かし、「多くの違う歌を歌っていた」と述べた。
スタフォード氏と同僚3人は3年にわたる調査で、ホッキョククジラの歌から特徴的な184種類のメロディーを確認。論文によると、ホッキョククジラの歌の多様性や年ごとの変化に匹敵するのは数種類の鳴き鳥のみで、ホッキョククジラは動物界でも最も多作な作曲家とみることもできるという。
また他の動物が求愛活動で発生する声とは異なり、ホッキョククジラの歌は複雑な旋律から成っており、先天的に備わっているものではなく、学習して得られたものと考えられるという。
鳥のさえずりのように声を出せる哺乳類はコウモリの数種やテナガザルなどわずかで、それも同じ旋律を繰り返すだけだ。また、ザトウクジラも歌を歌うことで知られるが、ザトウクジラは1年を通して群れで同じ歌を共有し、歌のメロディーは毎春、新しいものに変わるという。
一方、ホッキョククジラはさらに才能に富んでいて、常に新しい歌を生み出しているようだという。
スタフォード氏は「ザトウクジラの歌がクラシックだとすれば、ホッキョククジラの歌はジャズだ」と表現し、「ホッキョククジラの音楽はもっと自由だ」と語った。(c)AFP/Marlowe HOOD