【4月4日 AFP】英国防科学技術研究所(Defence Science and Technology LaboratoryDstl)は3日、ロシアの元スパイ毒殺未遂事件に使用された神経剤を分析した結果、ロシア製だと証明することはできなかったと明らかにした。

 イングランド南部ソールズベリー(Salisbury)近郊のポートンダウン(Porton Down)サイエンスパークにある同研究所のゲーリー・エイケンヘッド(Gary Aitkenhead)所長は英スカイニューズ(Sky News)に対し、分析により毒物が旧ソ連時代に開発された兵器級の神経剤「ノビチョク(Novichok)」であることは特定できたと説明した。

 その上で「われわれは正確な出所を確定してはいない」とし、「この特定の神経剤が何なのかについて科学的根拠を提供するのがわれわれの仕事であり、われわれはそれ(神経剤)が特定の系統に属するもので、かつ兵器級のものであることは特定した。だがそれがどこで製造されたかを述べるのはわれわれの仕事ではない」と続けた。

 さらにこの神経剤の製造には「非常に洗練された方法」が必要であり、それは国家水準の能力によってのみ可能なことだと説明した。

 2010年に米国・ロシア間でスパイ交換が行われた後、英国に亡命していた元二重スパイのセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏と、その娘のユリア(Yulia Skripal)さん親子は、3月4日に毒物に接触して以来入院中。英政府とその主要同盟諸国はロシアによる行為だとして非難したが、ロシア政府は事件への一切の関与を否定している。

 世界の化学兵器を監視する化学兵器禁止機関(OPCW)は3日、この毒殺未遂にロシアが関与しているとする英国の主張について討議する会合を4日に開くと発表した。OPCWによると、ロシアがこの会合の開催を求めていたという。(c)AFP/Dario THUBURN