【4月4日 AFP】2016年の米大統領選へのロシア介入疑惑で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)陣営の幹部とロシア情報機関関係者との接触について直接的な知識があったとされるオランダ人弁護士が3日、禁錮30日と罰金2万ドル(約210万円)の量刑を言い渡された。同疑惑をめぐるロバート・モラー(Robert Mueller)特別検察官の捜査で訴追された被告に量刑が言い渡されたのは初めて。

 アレックス・バンデルズワン(Alex van der Zwaan)被告は裁判で、トランプ陣営選対本部長の側近だったリック・ゲイツ(Rick Gates)被告やロシア情報機関の元職員との自身の接触について、虚偽の供述をしたことを認めていた。

 ロシア系オランダ人で、ロシアの著名な富豪の義理の息子でもある同被告は、国際法律事務所スキャデン・アープス・スレート・マー・アンド・フロム(Skadden, Arps, Slate, Meagher & Flom)ロンドン支部の弁護士だった2012年、ゲイツ被告とその知人であるポール・マナフォート(Paul Manafort)被告を通じ、ウクライナ政府の依頼による業務を担当した。

 検察によると、2016年にマナフォート被告がトランプ陣営選対本部長に就任し、その側近にゲイツ被告がついた後、バンデルズワン被告とゲイツ被告はいずれも、ロシアの主要情報機関である連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の元職員であることが判明していた人物と連絡を取った。

 裁判所文書によると、連邦捜査局(FBI)は「人物A」とされるこの人物が「ロシア情報機関と関係があり、そうした関係は2016年の時点でも存在した」とみている。検察によれば、バンデルズワン被告は捜査当局に対し、ゲイツ被告と「人物A」の両者と接触した事実について複数回にわたって虚偽の供述をしたとされる。

 バンデルズワン被告は虚偽の供述を指摘された後、捜査への協力を開始し、ゲイツ被告と「人物A」、スキャデン法律事務所の上級弁護士の3者の間で交わされた会話の録音を提出した。会話内容は公開されていないが、裁判所文書からは、大統領選挙中のトランプ陣営とロシア間の接触がホワイトハウス(White House)が認めているよりもはるかに広範囲にわたっていたことを示唆するものだったことがうかがえる。

 バンデルズワン被告には最長で禁錮5年の刑が言い渡される可能性があったが、米大統領選でトランプ陣営がロシアと共謀関係にあったとの疑惑をめぐるモラー氏の捜査に協力したことを理由に量刑は軽くなった。(c)AFP/Paul HANDLEY