【3月31日 AFP】(更新)米カリフォルニア州サクラメント(Sacramento)でアフリカ系米国人男性のステフォン・クラーク(Stephon Clark)さん(22)が、武器を所持していなかったにもかかわらず警官に射殺された事件で、私的に行われた検視の結果が30日に発表され、クラークさんは8発の銃弾のほとんどを背後から受けていたことが明らかになった。

 クラークさん一家の弁護士、ベンジャミン・クランプ(Benjamin Crump)氏は、検視によってクラークさんの体の前面に弾丸が撃ち込まれた痕はないことが判明し、事件当時、クラークさんは警察の脅威ではなかったことが証明されたと述べた。

 この発表を受けて、4日目となる抗議デモを実施すると表明していた活動家らは激怒した。このデモにより市民生活には混乱が生じているが、暴力や逮捕者は最小限にとどまっている。

 検視を行った著名な病理学者、ベネット・オマル(Bennet Omalu)氏は声明で、クラークさんの背面下部4か所、首の側面1か所、首の背面1か所、脇の下1か所、脚の側面1か所に弾丸が撃ち込まれた痕を発見したと発表した。首側面と脇の下では弾丸が貫通した痕もみられたという。

 18日夜、男が車の窓ガラスを割っているとの通報を受けた警察は赤外線カメラを搭載したヘリコプターも出して容疑者と特徴が似ていたクラークさんを追跡した。

 警官が装着していたカメラとヘリコプターが撮影した映像は、クラークさん自身が住んでいた祖父母の家の庭に逃げ込んだ様子を捉えていた。銃を抜いた警官らが庭になだれ込み、クラークさんに向かって「手を上げろ!」と叫び、「銃だ、銃だ、銃だ!」との声が続いた。警官が発砲した様子は赤外線カメラの映像に明るい光として映っていた。

 サクラメント警察は声明で「発砲の際、警官らはクラークさんが武器を警察に向けていると信じていた」と発表。「しかし徹底的な捜索をしたが現場で武器を見つからなかった。クラークさんのそばで見つかったのは携帯電話だけだった」。発砲に関わった警官らは捜査のため現在停職中だという。(c)AFP