【3月31日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の対イスラエル境界線付近で30日、ガザ住民数万人によるデモ行進が行われ、参加者の一部がイスラエル兵と衝突し、パレスチナ人15人が死亡、1400人余りが負傷した。同地区で1日に起きた衝突としては2014年のガザ紛争以来最悪の規模となった。

 イスラエル軍は同日夜、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)の拠点3か所に戦車による砲撃と航空機による爆撃を加えた。同軍は攻撃の理由として、境界線沿いに配置された兵士に対する銃撃に応戦したものだったと説明している。銃撃で負傷者は出なかったという。

 ガザ地区では同日これに先立ち、女性や子どもを含むデモ隊が各地に集結し、1948年のパレスチナ戦争で難民化したパレスチナ人数十万人の帰還を認めるよう要求。デモにはハマスの最高指導者であるイスマイル・ハニヤ(Ismail Haniya)氏も参加した。同氏が今回ほど対イスラエル境界線に近づいたのは数年ぶりとされる。

 デモ参加者の一部が強固なフェンスで守られた境界線まで数百メートルの距離に近づくと、イスラエル兵はデモ隊を押し戻すため、催涙ガスや実弾を発射。同国治安当局はまた、ドローン(小型無人機)を使って境界線付近にいた人々の頭上に催涙弾を投下した。警察によると、ドローンは最近導入されたばかりだった。

 ガザ地区の保健当局によれば、パレスチナ人15人がイスラエル部隊に殺害されたほか、1400人余りが負傷。負傷者のうち758人は実弾を受け、残る人々はゴム弾や催涙ガス吸引により被害を受けたとされる。(c)AFP/Adel Zaanoun