【3月31日 東方新報】中国の一部の企業では、応募者が採用試験時に先に健康診断を受けて、その後に面接に進むという流れが当たり前になりつつある。

「1社にも採用されなかったのに、先に健康診断を受けなければならなかったから、4~5回も血を抜かれたよ。先に面接して、受かった人だけ健康診断を受けるようにすればいいのでは?」

 応募者に先に健康診断を受けさせる方法をとるのには、理由がある。求職者の身体条件が会社の要求に合っているかどうかを前提条件に、条件に合わない人をふるいにかけ、その後の面接などの手続きのコストを抑えるためだ。また、求職者が偽の診断書を提出するリスクを回避するために、会社が指定した病院で健康診断を受けさせるのだ。

 しかし、求職者からすると、会社ごとに何度も健康診断を受けなければならず、毎回かかる費用面での負担や、何度もレントゲンを撮ることで体への影響も心配だ。さらには、医療資源の無駄遣いにもつながる。

 一つの病院で発行された健康診断書が何社にも通用するようになれば、健康診断を何度も受ける手間や、費用も抑えることができるが、社会全体に「信用」が欠如しているため、実現が難しい。

 完璧な信用システムが構築できれば、こういった問題は容易に解決できるはずだ。例えば、個人が一度信用を失うと、さまざまな面で制約を受けるようにするなど、技術や制度の向上によって、信用喪失者の情報が共有されるようになれば、おいそれと不正はできなくなるだろう。

 ブラックリスト制度の整備を進める企業も少なくない。信用を喪失するような行為に対する社会的な懲罰制度のシステムも日々洗練されてきており、個人の信用度合いを測るシステムがさらに実用性を増してきている。

 当面の急務は、信用を支えとしたシステムを構築し、資源を共有できるプラットフォームの構築だ。信用システムの完成と成熟は「健康診断の浪費」の不合理さと悩みを解消してくれることだろう。(c)東方新報/AFPBB News