【4月1日 東方新報】中国・北京市内の古い住宅地には駐車場が少なく、敷地内では日々、駐車スペースの取り合いが繰り広げられている。家の周りをぐるぐる何周もして、駐車スペースを探すことも珍しくない。

 北京市内の駐車場は計219万台分あるのに対し、夜間に駐車する場所が必要な車両は384万台。駐車場が純粋に足りない。一方、公共施設の駐車場は147万台分あるのに対し、夜間に駐車している車両は58万台にとどまり、残る約90万台分の駐車場が夜間に「遊んで」いることになる。

 北京市交通委員会は今年から、駐車場に関する新たな決まりを作るという。すでに一部の駐車場で時間差を利用した「シェア駐車場」を始めており、駐車公共情報管理サービスプラットフォームを構築・整備し、市内の駐車場の一括管理を目指す。

 住宅地の駐車場は昼間、オフィス街や公共施設の駐車場は夜間、それぞれ遊休の駐車場を提供できるようにする仕組み。支払いシステムなども明確にしていく。

 北京市内に住む劉さんは、自宅マンション敷地内の駐車場は十分でなく、敷地内の空きスペースに駐車しているが、帰宅が遅いと空きスペースすらも埋まっており、そんな日は仕方なく敷地外に路上駐車していた。駐車違反の切符が貼られているかもしれないと思うと、ゆっくり眠れなかったという。

 しかし先日、近所のデパート駐車場で見慣れないパーキングロックシステムが取り付けられているのを偶然に発見。シェア駐車アプリ「49停車」のスマートロックシステムだった。

 アプリを利用すると、空いている駐車場を探したり、予約したりできる。支払いは、ウィーチャットペイ(WeChat Pay)かアリペイ(Alipay)を利用できる。また、夜間の利用料金は昼間よりも割安だ。

 劉さんはこの1か月、夜間はデパートの駐車場を利用している。「駐車場の悩みがなくなった。午後9時~午前7時までたった15元(約253円)だし、会社から出る際に駐車場を予約して、駐車場に着いたらブルートゥースでロックを解除すればいいだけ。料金は直接スマホから落ちる」と満足げだ。

 デパートの駐車場管理者によると、この1か月で駐車場の利用率は2~3割増え、駐車場の収益も10%上がったという。

 このアプリを利用して、自宅駐車場を自身が使用しない時間帯に開放する人もいる。北京市民の宋さんは、出勤中の午前9時から午後7時の間、自宅の駐車場を開放することにした。「駐車場を開放しただけで毎月約100元(約1690円)もらえるし、一石二鳥だ」と満足げに話した。

 シェア駐車アプリ「49停車」を提供している北京四九シェア科技発展によると、シェア駐車場の考え方を受け入れたがらない駐車場所有者もいる。駐車場とインターネットの活用を結び付けてイメージできず、便利さを理解してもらえないことも少なくないという。

 同社の周鋭(Zhou Rui)董事長は、「政府の後押しと、我々の普及努力によって、さらに多くの駐車場管理者がインターネットへの理解を深め、『シェア駐車場』の概念を受け入れてもらえるようにしたい」と話している。(c)東方新報/AFPBB News